思いからの逃走、そして闘争
「でも、いやがられるかもしれないじゃないですか」
そうかもしれない。
しかしわからない。
「でも、ぼろくそ言われるかもしれないじゃないですか」
そうかもしれない。
しかしわからない。
人の気持ちを考え、
人のことを思いやる。
美しき道徳教育が、予期せぬ恐怖を生みだす。
人の反応を考え、
それを恐れる。
僕たちはどれだけ人の気持ちがわかるというのだろう。
僕たちがそうぞうした彼彼女の反応はどれだけどれだけなのだろう。
僕がいまできることは、
ただそのときそのときを選択することでしかない。
僕をしめつける思いはなんだ?
この傲慢。
この傲慢に今までも今日までも苛まれてきた
そして今日も明日もあなたが苛まれるのをみてきた
そこから逃げよう。
暗闇の夜更けに僕がフェンスを超えるから。
鉄条網にジーンズを引き裂かれながら、
足の裏に伝わる重力の痛みとともに降り立てば、
スリルに満ちたサバンナが
目の前には広がっている。
いまからでも遅くない
思いからの逃走、そして闘争