吉村堅樹:8/6 金 快晴なり

八月五日(日) 晴れ

学校
 家庭修練日


家庭
 起床 六時 就寝 二十一時 学習時間 一時間三十分 手伝い 食事の支度


今日は家庭修練日である。昨日、叔父が来たので、家がたいへんにぎやかであった。「いつもこんなだったらいいなあ」と思う。明日から、家屋疎開の整理だ。一生懸命がんばろうと思う。

野坂昭如終戦日記を読む』の冒頭、昭和二十年、広島県立第一高等女学校一年、
森脇瑤子さんの日記最終章である。


僕が近いうちに死ぬことだけははっきりとしている。
それは、明日か、来年か、10年後か60年後だろう。
戦争の季節がきて、蝉の声が頭に残響すると、
このことをはっきりと思い出すのである。


六日、瑤子さんは正午近く学校の理科室に変わり果てた姿で収容され、夜死んだ。