夜間飛行

昨日、芝公園あたりからお台場に向かう船の上にいた。
デッキにはほろ酔い加減の外国人の一行が嬌声をあげながら、
何度もカメラにおさまっている。


東京タワー、
ライトアップされた船、フェリー、
F、
お台場、これがお台場、
ちょっと上を見上げれば大雪の半月が。
全天四方のパノラマデッキのできあがり。
さえぎるもののない視界は、
心地よい孤独感を与えてくれる。


夜景がもてはやされる季節がやってきた。
夜景を見ても、僕の心が動かないのはどうしてだろうか。
その前にどうして心が動くのだろうかと問うてみた。


夜景に星をみている、海を見ている、森をみている。
自然をみている。
自然のメタファーとしての夜景。


シンプルになっている。
醜いもの、醜いといって語弊があれば
煩雑雑然が眼前から姿を消し、
ビジョンにともなう思考をリセットしてくれる。


ただどうやらその光は僕には少々強すぎるようだ。
願わくば地上50階のさらに上
雲の切れ間からのぞく光
そのかすかな弱さ
くらくらしていた不安定な鼓動は
静かにしっかりドクドクと脈動をはじめる。