『奇縁まんだら』縁は異なもの味なもの

kenjuman2008-08-30

“縁は異なもの味なもの”「男と女のめぐりあい、結びつきというものは、予測のつかないほんとうに不思議なもの、おもしろいものだということ。」
正確にはこういう意味だが、こんなことわざが頭に浮かんだ。

はじめに
島崎藤村
正宗白鳥
川端康成
三島由紀夫
谷崎潤一郎
佐藤春夫
舟橋聖一
丹羽文雄
稲垣足穂
宇野千代
今東光
松本清張
河盛好蔵
里見恕s
荒畑寒村
岡本太郎
檀一雄
平林たい子
遠藤周作
水上勉

瀬戸内寂聴の本は実ははじめて読む。
日経で連載されているときから、目を通していたこともあり気になっていた。


平易な文章で、作家たちとの交流が生き生きと描かれている。
曼荼羅ともいえるかくもさまざまな人間の姿だ。


その姿は美しくもありいとおしくもある。
おかしくもあり悲しくもある。


一つ一つの短いエピソードの中にその人間がうつしだされている。
そのエピソードを切り出す寂聴の人間の魅力をひきだす目の確かさであろう。
マスメディアによって作り上げられたイメージとは一味もふた味も違う作家という人間がそこにはあった。


この人たちを誰が笑ったり、誰が動物園の動物でも見るように眺めることができるのだろうか?


濃密な人間ドラマの短編オムニバスを見、鈍く熱い思いが残った。
横尾忠則の挿絵もすばらしい。