『ハイコンセプト』楽しみな未来とその困難さ

ハイコンセプトなものがあふれたあとに、ハイコンセプトな人たちが育つのであればこんな楽しみなことはない。

▼これから求められる「六つの感性(センス)」
「機能」だけでなく「デザイン」
「議論」よりは「物語」
「個別」よりも「全体の調和(シンフォニー)」
「論理」ではなく「共感」
「まじめ」だけでなく「遊び心」
「モノ」よりも「生きがい」



6つの感性を磨くための具体的な方法例が詳細に書かれている。
GTDとも関連するかもしれないが、小さなノートやメモと常に持ち歩き、
良いと思ったデザイン、悪いと思ったデザインの改善点、
素晴らしいと感じた比喩
などを書き留めることなんかは、
ちょっとしたことは僕はやっているのだがさらに心がけたいものだ。

ビジネスをするものとしては、
本文中の物語がある商品と、物語がない商品ではどちらを買いますか?
という問いかけには大いに刺激された。
もちろん僕は前者を購入する。

「デザイン」性に優れ、「物語」を紡ぎだし、
「全体の調和(シンフォニー)」を俯瞰した目でみつめ、
さまざまな人に「共感」し、
「遊び心」をもって仕事をし、
日々「生きがい」を感じています。
そんな自分に私はなりたい。そりゃそうだろう。


この『ハイコンセプト』はこれからは6つの感性をもった組織や個人が残っていきますよということが主旨だ。
6つの感性をもった人たちがまわりに多く育ってくるのであれば、それは楽しみな未来が待っていそうだ。

このような未来が理想的だとなにやら頭で気づいた偉い人たちが、
さあこういう人を育てようとしたときに、
この書籍の中ではいい例として日本の“ゆとり教育”があげられているのだが、
もしゆとりに入ったものが空虚であれば、
それは文字通り空々しく虚しい。

見もふたもないようだが、
6つの感性も自分で気づき、
自分で実践してみるしかないのである。
その入り口を示すことしかどんなに素晴らしいものもできないのだと思う。