地下鉄幻視

木曜日に大江戸線に乗った。
何か違和感がある。
不安な気持ちがする。
心理的に落ち着かない。
言い方を変えてみたが、つまりは理由がわからないが変なのだ。

それに気づくのにしばらくかかった。
その車両には広告が1枚もなかったのである。
吊広告も扉の近くの枠にはめられた広告も。
広告がないだけで、こんなにも不安な気持ちになるのかと。
慣れって恐ろしいということか、いやそれとも色がないことが落ち着きを奪ったのか。


飯田橋駅で降りた。
飯田橋の駅を九段下のほうに向かう通路を歩いていると、
もう夕方18時すぎだというのに壁の隙間から日の光が差し込んでいる。
15秒くらいはそう思った。

それは縦にすえつけられた蛍光灯が規則的に並んでいるに過ぎなかったのだ。
明るすぎる。
これは意図的な明るさなのだろうか。
無機質無機質であるがゆえか、超越的な感じさえする。


A4出口を出た。
歩道はレンガ上のタイルパターンをはめられたありがちなものだ。
しかしそのパターンは、歩道はゆがんでいるのだ。
急いでいたので、はっきりと確認しなかったのだが確かにゆがんでいた。
そのゆがみの所以をはっきりと確認しなかったのが残念である。


ちょっとしたことだが不思議な気分だった。
それとは話がずれるのかもしれないのだが、
不規則な隆起がある駅に向かう通路や
幾何学的な広告スペース
色や形が違うエスカレータ(僕は一人用の狭いエスカレータが好きだ。プライベートを満喫できる)
思い切り抜けた天井
圧迫感がある天井

こんなものは役に立たないのだろうが、
これからは大変役に立つのだろう。
そんなふうに日曜日の今日、両国駅で思った。