現代の宗教

ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』が新訳されて最近ベストセラーになっていた。それにちなんで、NHKで今、なぜドストエフスキーが読まれるのかというETV特集がやっていた。そのゲストとして登場したのが『蛇とピアス』で芥川賞をとった金原ひとみさん。彼女がドストエフスキーの愛読者だということで呼ばれていた。

その中で彼女が興味深いことを言っていた。現代の日本は宗教がないようにいわれているけれども、彼女の小説で繰り返し描かれる若い男女は、相手の異性に精神的に依存をしている。これが現代の宗教だというわけです

確かに、異性のパートナーに依存をしている人は、この国の宗教といってもいいくらい多く見られる。そのパターンというのは相手のいうことが、おかしいんじゃないのかな?と思ったとしても、宗教というのは信者はその宗教が間違えているかどうかは考えない。ただ、宗教がいうようにやるだけで、そこに宗教自体を変革していこうとか、この宗教は違うのでは?というのはない。

現代の宗教も通常の宗教も、「愛」という言葉で現実を見えなくしているのは同じなんだなと思う。宗教というものにはそれぞれ考え方があって、ひとくくりにする見方は危険だとは思うけども、宗教に依存して、耳をふさいで、目をつぶっていれば今は過ぎていくかもしれないが、自分の成長は望めない。でも、それを選択するのも自分なのだ。悲しいかな、耳をふさいだ者に声は届かない。