吉村堅樹:雑草を抜く

家の前に雑草が生い茂っていた。
抜かなくてもいいといえばいいのだが、
やはり気になるので、いつか抜こうと思っていて、
今日、買い物に出ようと外に出たときに抜いてみた。


こういうのは抜き始めると気になるもので、
ついついしつこくやってしまう。
性分というか、なかなか治らない。
どんどんどんどん抜いていった。
蔦性の植物が地面を這っていて、
それなんかはかんたんに抜けるのだけど、
なにやらねばねばした液みたいなのを出していて、
これらが生物なんだということを
否応なしに実感する。


雑草を抜いていると、
パルチザンのアジトを一掃する官憲みたいな気分になり、
そのねばねばした草液と爪の間に入り込んだ乾燥した土で、
どうにも気分が悪くなった。


買い物に出ようと思ったが、戻って手を洗った。
家の外では、やっと蝉が鳴き始めた。
昔はあんなにうるさいと思っていたのに、
いつからか、あのうるさい蝉がいとおしいと思うようになった。吉村堅樹: