見舞いと墓参り

僕は見舞いと墓参りが好きだ。静かな時間があって、清潔な空気が流れる。

見舞いは来られるのはもちろん好きだが、行くのも好きだ。見舞いに行くとなると若い頃からわくわくしていたもので、見舞いはどうしても一人で行きたかった。しかし、いざ行くとなると、なかなか一人で見舞いに行かせてもらえない。一緒に行こうとか言われて、ひどい場合はバラバラに行くと迷惑だなんて言われる。

しかし、僕は墓参りと見舞いに共通する一人の人間が一人の人間と向き合うという感覚が好きなのだ。
墓も病人も身動きできない。ここぞとばかりに腰を落ちつけて、どうでもいい話から胸の思いまで語れるではないか。
そんな機会はなかなかない。墓のほうは待っててくれるが、病人は病気が治れば待っていてはくれない。

そんなわけで僕にとって墓参りと見舞いはドキドキする胸踊る時間なのである。