潔さ

僕が好きな女優に高峰秀子がいます。何日か前に成瀬巳喜男の「女が階段を上るとき」を見たのですが、ここでも高峰秀子の演技は格別でした。高峰秀子原節子のように目鼻立ちがくっきりしているわけではないのですが、微妙な息遣い、動きというのが今のタレントにはない美しさがあると思います。

ここに最近の高峰秀子のインタビューの一部が掲載された記事があります。
http://kara-sen.cocolog-nifty.com/buntai/2005/11/post_3cf4.html

これを僕はじつはテレ東の「美の巨人たち」の梅原龍三郎のときにみて、いたく感心したのです。
高峰秀子が、「人生で一番大切なものは?」と聞かれ、
「潔さですね。生きる上での清潔さ」と答えたという一節。

はえ?潔さが一番大事なの?ってまずちょっと驚いて、それからそういう心境というのは現代の人で持っている人はあまり見たことがないし、僕の親の世代でも潔さなんてものはある人はあまり見たことがないです。

潔さという態度の中に、凛とした美しさというもの、そして本当の優しさがあるように思うのです。
この潔さなんて言葉は、諦めのよさみたいな感じで捉えられてしまいそうですが、背筋が伸びて、まっすぐに前を見ているような、人事を尽くして天命を待つというようなそんな心持を端的に表した言葉のように思います。